自筆証書遺言の書き方
「自分の死後も家族みんなで仲良くしてほしい」という希望をもたれる方は多いと思います。
しかし残念ながら、こうした希望がかなうケースばかりではありません。
相続をめぐって争いが起き、とりかえしのつかないところまで家族関係がこじれてしまう可能性もあります。
こうした相続トラブルを防ぐ有効な手段の1つが、あらかじめ遺言を書いておくことです。
遺言を作成することで、防げる相続トラブルは相当数あります。
自筆証書遺言とは、その名のとおり遺言者本人が自筆で作成した遺言書のことです。
ここでは有効な遺言書を作成するための各要件について説明します。
難しい要件はありませんが、一つも欠けることがないようにご注意ください。
【1】自筆で書かれていること
本文、日付、署名のすべてが自筆で書かれていることが必要です。
第三者の代筆による遺言書はすべて無効になります。
※2019年からは財産目録のみパソコン作成可(目録各項に署名押印等は必要)
【2】日付を記載すること
「2021年1月1日」や「令和3年1月1日」など年月日までの明記が必要です。
※2021年1月吉日では日付特定できないため無効
※複数の遺言書が存在する場合、日付が新しいものが有効となります
【3】署名があること
必ず自書での氏名記載が必要です。
※ゴム印での記載は無効
【4】押印があること
実印、認印、拇印などの押印が必ず必要です。
※実印が最も望ましいといえます
せっかく作成した遺言書が無効になってしまうことのないよう、
自分一人での作成に不安がある場合は、専門家に相談してみることもご検討ください。
なお、遺言の有効性に疑義が生じるのを防ぐために公正証書遺言の作成を選択する方は多いです。
その他のコラム
介護をがんばったので遺産を多くもらうことはできますか?【弁護士解説】
特定の子どもに親の介護の負担が集中した場合、他の兄弟姉妹との不公平感から相続トラブルが起きやすい傾向があります。 「介護を頑張ったので、相続では報われてほしい。遺産が多くほしい」と考える方は少なくありませんが、実際にそうした希望を叶えるためには法的なハードルをいくつも乗り越えなくてはいけないようです。 介護を頑張った人が金銭的に報われるためにはどうすればいいのか
配偶者居住権とは?ステップファミリーの増加で出番が増える?【弁護士解説】
平成30年の相続法改正でスタートした配偶者居住権制度。 夫(妻)に先立たれた配偶者の暮らしを守るための制度ですが、実際の使い勝手はどうなのでしょうか。 制度の概要や使い所、今後の展望などについて、那賀島弁護士に伺いました。 事例 私は70代の女性です。 先日、35年間連れ添ってきた夫が突然亡くなりました。 相続人は私、私と夫の子ども1人、そして夫が前妻との間に子どもが2
自分の遺産をあげたくない子どもがいる場合の相続【弁護士解説】
終活を始めるにあたって、遺言について考える方も多いと思います。 しかし、相続では遺言さえあれば基本的に本人の意思が優先されるとはいえ、本人の希望によっては相続人の反発を招いて「争族」になってしまうリスクも否定できません。 特定の子どもだけに相続させたい、といった不平等な内容の相続を考えている場合は、なおさらです。 今回は、相続させたくない子どもがいる場合に取り
モメそうな相続こそ遺言執行者を【弁護士解説】
資産が多い、相続人や利害関係者が多数いる、家族関係が複雑だ……こういった事情を抱えた相続は、たとえ遺言を作ったとしても相続の手続きが紛糾しがちです。 そこで、重要となるのが、遺言の内容を粛々と実現してくれる遺言執行者の存在です。 遺言執行者とは何者なのか、どんなときに必要なのか。 遺言執行者が必要となるケースやその仕事内容について那賀島弁護士に伺いました。 事例 私は70
死後の手続きはどうなる?おひとりさまのための相続入門【弁護士解説】
未婚率の上昇にともない、相続人となるべき配偶者や子どもがいない人も増加すると思われます。 こうした「おひとりさま」の場合、相続はどうなるのでしょうか。 おひとりさまをめぐる相続問題について、那賀島弁護士に伺いました。 おひとりさまの相続ってどうなるんですか? 私は現在50代後半の会社員です。 結婚はしておらず、子どももいません。 また、今後結婚する予定もありません。