【弁護士が語る!】私たち、これで困りました!実録相続トラブル
相続は「争族」と書かれるほどにトラブルが多いと耳にすることがあるかと思います。たしかにテレビの再現VTRやドラマ、漫画では相続で揉める家族が頻繁に登場します。しかし「うちは大丈夫でしょう」と考えている方が多いのではないでしょうか。相続で揉めるのは資産家ばかりでは?と思っている方も少なくありません。でも実際に事務所を訪れるのはごく普通のご家族が多いんです。
そこで今回は、当事務所の那賀島弁護士に、実際に発生した相続トラブルやトラブルが起きやすい家族、そして相続に関するトラブルの解決方法について質問しました。
Contents
異母/異父きょうだいの登場にこだわりが強い相続人!実際に起きた相続トラブルの数々
——事務所にはどのような相続トラブルが寄せられますか?
頻繁に目にするのは「日頃からコミュニケーションがとれていない親戚や家族間の相続トラブル」ですね。わかりやすいのが「父親や母親が違う子どもたちが揉めるケース」でしょう。父親の愛人の子や、前妻の子、前夫の子、などパターンは多様です。昨今は離婚、再婚が増加していますので父親や母親が異なる子どもが登場するパターンはますます増えるのではないでしょうか。
こういった家族はもともと子ども同士で連絡を取り合うことはほとんどありませんし、交流があったとしても仲良くない。そこに降って湧いてきた相続問題で話をすると揉めるんです。
被相続人と最後まで一緒に暮らしていた子どもたちからすると「いくらお金をとられるのか」と不安になるのです。法事で話し合おうと思ったら喧嘩になって、帰ってきたらすぐさま弁護士に電話をしたなんていうケースも珍しくありません。
——同じ父母の間から生まれたきょうだい達が揉めることはありますか?
もちろんです。きょうだいの中にこだわりが強い方がいらっしゃると遺産分割協議が滞ります。そもそも連絡が取れなかったり、とれたとしてもこだわりが強すぎて話し合いにあらなかったり。親も生前に子どもたちの不仲を把握しているはずなんですが「子ども同士だしどうにかなるだろう」と甘く見ていることが多いんですよ。
法定相続分といって法律で決められた通りの分け方ができればよいのですが、それでは納得しない方が多いですね。とくに相続人の中に「働かずに被相続人に生活費を出してもらっていた方」がいる場合には揉めます。他の相続人たちは「お前はずっと親のすねをかじってきたんだから等しく相続するなんておかしい」と怒るわけです。実際のところ被相続人に相続人が生活の面倒をみてもらっていたとしても、一般的な食費や日常品費程度であれば生前贈与とはいえず法定相続分から相続割合を減らすことは難しいのですが。
——亡くなった方が会社を経営していた場合も揉めやすいですか?
事業承継をまったく行っていない状態でオーナー社長が亡くなられると大変ですね。中小零細企業で、社長=大株主といったケースでは妻や子が株式を相続することになります。ところが妻や子どもは相続以前は会社の経営にタッチしてこなかった。そうなると事業の存続すら危ぶまれます。
事業を営んでいる方は、生前から「いつ何があっても大丈夫なように、事業承継を見据えて動くこと」を心の底からお願いしたいです。
——被相続人が認知症を患っていたときも揉めやすいと聞きました。そういった相談もありますか?
被相続人の認知機能が怪しい状態で、相続人の一部が身の回りの世話をしていた場合には「親は自分でお金を引き出せるはずがないのに、1日50万円ずつ引き出されている。同居していた長男の仕業じゃないか」といった相談をいただくことがありますね。
相続でトラブルを発生させないために日頃からできることは財産の見える化とコミュニケーション
——相続で家族や親戚と揉めないための対策を教えてください。
被相続人ができる揉めないための対策の1つが「公正証書遺言」の作成ですね。公正証書遺言とは公証役場で作る偽造や紛失のおそれがない遺言書です。事前に弁護士等の専門家と話し合って遺言書の内容を固めておけば法的に無効になることもなく、死後は公正証書遺言の通りの遺言を執行するだけです。
弁護士が、遺言の内容通りに財産を分割する役割を担当する場合には、相続人の皆様は手続きに追われることはありません。相続人の無用な争いを避けるためには公正証書遺言が最適でしょう。当事務所でも公正証書遺言の作成から遺言の執行までをご依頼いただくことが多いですよ。相続発生前にご連絡をご相談をいただければ、税理士と連携を取りながら節税を考慮して遺言書を作成できます。
——被相続人が他にできることはありますか?
相続財産の情報を相続人にシェアしておくことが大切です。不信感がトラブルの元になります。相続財産の全貌がわからないから「一部の相続人が財産を隠しているのではないか」「使い込みをしたのではないか」と疑いたくなるのです。あらかじめ相続財産を見える化しておけば、こういったトラブルは生じません。相続財産を可視化することによって相続人たちの「期待値」も適正値に保たれます。「本当はこれだけあるはずなのに、足りないのは他の相続人の仕業だ」といった疑いを持たずに、相続人全員が平穏な気持ちで生活できるでしょう。
——家族のコミュニケーションも、相続でのトラブル防止に役立ちますか?
揉めるケースの多くはコミュニケーション不足が原因です。したがって日頃から話をしておくことは大切ですよ。日頃から連絡が途絶えている時点で、トラブルの火種がくすぶっています。そこに相続が発生したら揉めないわけがないのです。不信感から疑心暗鬼の状態になり、話し合いすら困難になります。相続が発生する前から電話やメッセージ等で連絡をとっておくことはトラブルの防止になると思いますよ。
もう揉めている!どうすれば?弁護士は何が出来る?
——すでに相続が発生して揉めている場合はどのタイミングで弁護士に相談するとよいのですか?
どの段階でも問題ありませんよ。理想をいえば相続が発生した直後がベストです。他の相続人の動きを丁寧にヒアリングした上で、ベストな動きをアドバイスできます。「これは揉めそうだな」と思ったらお気軽にお問い合わせください。
喧嘩のような状態になっていても、途中から代理人となって交渉できます。弁護士が入ることで先方がクールダウンして話が進むこともあります。癖が強い方がいらっしゃる場合は話し合いでは解決できず、調停に進むこともあります。
——弁護士に遺産分割協議の際の仲裁役をお願いすることは出来ますか?
「弁護士さんに裁判官のようにそれぞれの話を聞いて遺産分割協議をまとめてもらいたい」というご依頼はときおりいただくのですがお断りしています。なぜならばどなたか1人にとって有利になるアドバイスをすることはできませんし、複数の相続人に個別のアドバイスをすると利益相反になってしまうからです。
したがって遺産分割協議で弁護士にご依頼いただく場合は、「特定の相続人の代理人」として交渉するのが一般的ですね。依頼者様の要望を丁寧にヒアリングした上で、交渉にあたり希望に添う形で解決できるように尽力いたします。
——借金しかないような場合でも相談に乗っていただけますか?
最近は相続放棄のご相談が増えています。被相続人が借金を抱えていて、預貯金よりも借金の金額が多ければ、相続をしないほうがよいですよね。相続放棄の期限は「被相続人が死亡したことと自分が相続人になったことを知ってから3ヶ月以内」と規定されています。みなさんが思っている以上に3ヶ月は短く、お葬式やお通夜、納骨などを済ませているとあっという間にすぎてしまうので慌ててご相談をいただくこともあります。
相続放棄の手続きについても弁護士が代行できますので、お気軽にご相談ください。
お金があってもなくても揉める相続問題は弁護士にご相談を!
今回那賀島弁護士のお話を聞いてみて、あらためて「相続は揉める」と実感しました。日頃から仲が良くなかった家族や親戚は財産の額によらず揉めてしまいます。揉めないために重要なのは、あらかじめ公正証書遺言などで遺言書を残しておくこと。そして揉めてしまった場合は早めの弁護士への依頼が得策です。当事務所でも相続でお困りのお客様からのご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。弁護士をはじめ、スタッフ一同、お客様の問題を解決するために全力を尽くして対応いたします!
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